【115】 酔芙蓉 と 木芙蓉 と 木槿(むくげ)


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                【 酔芙蓉(すいふよう)】 
鵲声庵には、お盆が過ぎた頃から、中心部が赤い 白色の花と 淡紅色の花、そして中心部も白い 純白の花、いずれも 一重咲きのすっきりした花が咲き続け、その美しさを楽しんでいる。
14年前、新装なった鵲声庵の裏庭に、以前住んでいた長崎から 若枝を数本持ってきて挿し木した花である。

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             ※ 木 槿

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             ※ 木 槿

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             ※ 木 槿

当時、知人が、この花は 「 芙蓉(ふよう)」 だと教えてくれたが、私が以前から聞き知っていた 「 芙蓉 」 は、ほわほわとした八重咲きの花だったので、はっきりしないまま 気になっていた。

実は、後で分かったのだが、鵲声庵に挿し木したこの花は、芙蓉と同じ フヨウ属だが 別種の 「 木槿(むくげ) 」 という花だった。
そして、私が聞き知っていた 八重咲きの花は 「 酔芙蓉(すいふよう)」 と言い、普通 「 芙蓉 」 と呼ばれているのは 一重咲きの 「 木芙蓉(もくふよう)」 の花なのだ。

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              ※ 木 芙 蓉 (Wikipediaより)

それにしても、「 酔芙蓉 」 とは 面白い名である。
朝に白い花が咲き、午後には淡い桃色に、夕方には赤い桃色に変わり、夜明け前には萎んでしまうことから、この名が付いたという。
どうも、この花は 真っ昼間から飲んでいるらしい。
冒頭の写真は、先日、旧大村藩主の菩提寺で歴代藩主の巨大な墓がある本経寺を尋ねた折、道路沿いに咲いていたので 撮ってきた。
午前中だったので、まだ ほとんど白く 素面だったが、中に、真っ赤になっていたのがいたのは二日酔いだったのだろうか。 

片や、「 木芙蓉 」 は、水の芙蓉に対比して名付けられたとも言われている。
中国では ハスを 「 芙蓉 」 と呼んでいるからだ。
また、木芙蓉は、和名で 「 木蓮(き はちす)」 とも称されている。
「 ハチス」 は ハスの本来の呼び名(古名)で、花の後に実が入る花托が、蜂の巣状になっていることから 付いた名であろう。
ちなみに、春に 暗紅紫色の大型の花を咲かせる 「 もくれん 」 も、全く別の花なのに 同じ 「 木蓮 」 の字を当てている。
訓読みと音読みの違いはあるが、どうもややこしい。
また、広辞苑によると、「 もくれん 」 は、別に 「 木蘭 」 とも書いており、これまた ややこしいが、これも 由来が覗えて面白い。

ところで、「 芙蓉 」 は、美しいものの例えに使われる。
女性の美しい顔立ちを 「 芙蓉の顔(かんばせ)」 と言ったり、富士山の雅称が 「 芙蓉(峰)」 であるのも そうだ。
この形容は、つんとした冷たさがなく、ふくよかで暖かい美しさが感じられる。

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              ※ 木 槿

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              ※ 木 槿

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              ※ 木 槿

さて、鵲声庵の木槿(むくげ)も、朝に咲き、夕方には萎んでしまう 一日花だが、蕾が沢山付いていて、次々と開花する。
ところが、萎んで 蕾のように丸まった花が 二日程で落ちてしまうので、塀越しの道に散らばり、特に雨の日は 始末に困るのが難点だ。
だから、ご近所に迷惑をかけるからと、カミさんの評判は あまりよくない。
毎日の掃除が大変なのだ。

木槿と芙蓉は、どちらも 夏から秋にかけて咲く 一日花で、良く似た同属の花木である。
木槿が 枝を上方にまっすぐに伸ばしているのに対し、芙蓉は、横にこんもりとした枝振りで、葉が大きく、めしべの先端が曲がっているので、判別しやすい。

木槿は、次々に花が咲き、花期が長いので、朝鮮語で 「 無窮花(ムグンファ)」 と呼ばれており、これが、音読みで 「 ムクゲ 」 になったという。


 そこで一句
  嫁取れば キッチンドランカー 酔芙蓉 (快団爺)


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             ※ 木 芙 蓉 (前橋市 青木繁伸氏撮影)

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             ※ 木 芙 蓉 (前橋市 青木繁伸氏撮影)

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             ※ 木 芙 蓉 (前橋市 青木繁伸氏撮影)

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             ※ 酔 芙 蓉

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             ※ 木 槿

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             ※ 木 槿



※ 木芙蓉の撮影者・青木氏のURL
  http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/HTMLs/fuyou2.html




 
        

この記事へのコメント

アナクロ二スト
2008年10月02日 00:19
八重咲きが酔芙蓉、一重が木芙蓉と木槿ですか。次第に酔いが回る芙蓉。快団爺の花の名前の由来についての蘊蓄を楽しく読ませてもらいました。富士山の別名が芙蓉とは・・一高寮歌「嗚呼玉杯」の2番に「芙蓉の雪の精をとり、吉野の花の香を奪い、・・・」とありますが、美しいものの代表ですね。

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