【80】 十二支の動物異聞

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神様が、干支(えと)の十二支をお創りになった時、十干のような 「 甲、乙、丙、丁・・・」 では面白くないので、覚え易く、また 人間に親しまれるように、十二支それぞれに 人間に身近な動物を当て嵌めようとお考えになりました。
すると、たいへん希望者が多く、モグラ や ミミズ までが 「 私めを 一番に・・・ 」 と願い出たので、神様も大変お困りになりました。
「 よし、それでは・・・ 」
神様は一計を案じられました。
「 わが在所の門前に いち早く馳せ参じた者の中から、順番に 12 人(匹?)を採用するぞよ。日時は追って沙汰すべし 」 と お触れを出されたのです。

さて 決戦の時は至り、もう既に門の前には、 一番手に あの鈍間な ウシ が得意満面で のそり と立っていました。
どうしても一番になりたかった ウシ は、足が遅いから 前の晩に出発していたのです。

いよいよ 刻限となり、さあっと門が開かれました。
その瞬間、なんと、宙を飛んで ウシ の前にぴょんと降り立った者がいました。
可愛い小さな ネズミ でした。
ネズミ は、前の晩から、ウシ の角の上に乗って満を持していたのです。
一瞬 驚いて ドドッと一歩下がった ウシ は、自分が二番手に下がったことに気が付いて、大声で叫びました。
「 モウ …、 いやっ!」
それ以来、ネズミ は 「チュウ」 と 啼き、ウシ は 「モウ」 と 啼くようになったのです。

あの機関車のような イノシシ が 最後の 12 番になったのは、どうしてでしょうか。
例によって寝坊した イノシシ は、遅れを取り戻そうと、丘を越え曠野を横切り 駈けに駆けて、門の直前でやっと ウシ を追い越すことが出来ました。
だがしかし、猪突猛進の勢い余って 門の脇の大楠に 鼻から激突 し 失神 してしまいました。

「 ワンワン! ワンワン!」
門が開いて間もなく、門の直前で イヌ が盛んに吠え立てていました。
イヌ は、どうにか 12 番目に入ることが出来そうだと分かり、嬉しくて、ぐるぐる回り 啼き騒いでいたのです。
この啼き声で イノシシ は ハッと目を覚まし、何とか イヌ の後から 門内に飛び込むことが出来ました。
しかし、奮闘の甲斐もなく、残念ながら順位は13 番目でした。
しかも、イノシシ は、飛び込んだ弾みで イヌ の尻を大きな鼻で突き上げてしまったのです。

ところが、勝負ごとは 最後まで分からないものなのです。
既に 圏内にいた モグラ が、一番目の ネズミ の同族だと間違えられて失格となり、イノシシ が 12 番に繰り上げ当選 したのです。
それ以来、イヌ は イノシシ を追跡し、モグラ は拗ねて土の中に潜ったまま 出て来ようとせず、イノシシ は鼻で土を掘って モグラ を探すようになったのです。

ところで、人間に最も係わり合いが深い ネコ が どうして入っていないのでしょうか。
ここで、クイズです。
 (1) ネコ は、ネズミ を食べるので 外されたから。
 (2) ネズミ が、日時をわざと間違えて ネコ に教えたから。

グウタラのように いつも昼寝している ネコは、本当は狡猾で すばしこく、油断のならない ワル だと、ネズミは見ていました。
だから、ネズミ が、選考の日時を わざと間違えてネコに教えたのです。
それ以来、ネコ は天井で ネズミ を追い駆け回すようになったのです。

 そこで二句
  初夢は ネコ に喰われる 年男 (快団爺)
  三番は 嫌だと やけ酒 トラ になり (快団爺)


≪この物語は、父が、卒寿祝いの折、子供の頃 故郷の古老から聞いたという話を してくれた ものである≫ 
  
※ 冒頭のイラストは、©無料イラスト素材  
              「FreeIllust.com」 より      
               http://www.freeillust.com/

この記事へのコメント

仮分数
2008年02月08日 15:27
文学にも政治にも芸術にも 定年はない
九州でも多くの方が 同人誌をつくり 政治同好会を作り つばを飛ばして論じている
長く豊かな人生経験を糧にした、財産である。
可能性秘めた 行動でもある
快団爺様の文学も素晴らしく油に乗り 快適な航海をしている。
戦中 戦後と激動の時代を生き抜いて来た世代の長い人生からは、強い精神や哀愁そして優しさが滲み出ている。
そして 絶え間ない努力にも敬意を表する。
有難うございます。
無伴奏ソナタ
2008年02月08日 23:19
快団爺様、最後の※以下の文章が、プログラー(って言うのかしら)らしくて、格好いいです。
しかも、仁義を切ってリンクを貼るなんて・・・もう、すっかり、ネットの住人ですね。素晴らしい!!

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