【96】 鵜のとんじょ


画像

「 鵜ぅのとんじょう、鵜のとんじょ! 鵜のとんじょの頭 ぁに 火が付いた、火が付いた! わあぁっ!」
標高50mほどの小山の頂上にある、「 小池のお宮 」 と 呼んでいた社で、子どもら 3,4人が 下方の小池を見おろすところに並び、池に浮かんでいる 2,3羽の鵜に向かって、手でラッパを作り一斉に叫ぶ。
すると、鵜はすっと水に潜り、見えなくなる。
「 右っ!」、「 左っ!」、「 向こうっ!」、「 手前っ!」
子供らは、思い思いに叫ぶ。
鵜が潜った場所から、どっち方向の水面に姿を現すか、当て競らべをやるのである。

こっちも息止めて、今や遅しと、鵜が水面に現れるのを じっと待つ。
息苦しくなり、二回目に息を継いだ頃、ぴょこんと一羽が浮かび上がった。
「 出たっ! 左だっ。」
「 それ見ろぉ!」 当たった子は、得意顔だ。
次の一羽を待つ。
「 右っ、右っ! 出ろっ、出ろっ!」 
「 出たっ!」
「 ようしっ、やっぱり手前だ!」
鵜が浮き上がる度に、大変な騒ぎだ。
私が、川原小・中学校、中学一年に入った頃のことである。

画像

画像
             ※  小池のお宮 (池之御神社) の鳥居

その小池は、川原大池の傍で、道を隔ててすぐのところにあった。
小池と言っても、小学校の運動場程の広さの池で、あまり深くはなく周辺部には葦がいっぱい生えていた。
池の周囲は足場が悪かったが、鮒が、入れ食いするほど良く釣れた。
冬場には、鴨などの渡り鳥が来ていたが、鵜は年中泳いでいたようだ。
おそらく、彼らは川鵜で、小池は棲みかだったのだろう。           

10数年前から、川原に行った折、どうも小池付近の様子が変わっているような気がしていた。
一週間前の野母半島一周の時は、気になりながら、寄る時間がなかった。
昨日、小池代議士のテレビニュースを見て思い立ち、デジカメを助手席に乗せ、急遽愛車を駆って川原に出かけてみた。
なんと、あの鵜の棲みかだった小池は埋め立てられ、公園になり、付近には立派な町営アパートが立っていた。

折角だから、「 小池のお宮 」 に登ってみた。
祠はあったが、小さくなったような気がした。
社の周りは、鬱蒼と木が茂り、下は見下ろせなくなっていた。
池だったところの周辺も状景が一変しており、当時の面影は、全く無くなっていた。

画像
                            
画像
             ※ 小池の跡に出来た公園    

画像
             ※ 小池のお宮 のある小山 公園から

「 まあ、仕方ないな、時代が変わったんだ 」
自分を納得させるように呟きながらも、小池や、葦や、鵜や、小池のお宮など、私の脳裏に鮮明に焼き付いた記憶が、むしろ、ますます鮮度を増してきたように感じながら帰途についた。
まあ、それで、良しとしよう。

 そこで二句
  振り回す 蛇はちぎれて 好きな娘へ (快団爺)
  還暦から 数え 中1と 威張る爺 (快団爺)

画像
             ※ 川原大池

画像
             ※ 川原 大瀬鼻

画像
             ※ 川原の浜

※ 「鵜のとんじょ」 とは、「鵜の鳥」 という意味
※ トップの写真は、川原大池

※ 少年時代の遊び
【26】 トンビの巣を襲え!
http://kaidanjii.at.webry.info/200611/article_5.html
【27】 野生の遊び
http://kaidanjii.at.webry.info/200611/article_6.html
【28】 「 少年野生の森 」
http://kaidanjii.at.webry.info/200611/article_7.html
【37】 「 熊ん蜂 」に刺された!
http://kaidanjii.at.webry.info/200701/article_2.html
【50】 メジロを捕った!
http://kaidanjii.at.webry.info/200703/article_6.html
【66】 「 唐茄子、カボチャ の アンポンタン!」
http://kaidanjii.at.webry.info/200708/article_1.html
  
 

この記事へのコメント

さぶ
2008年05月26日 10:33
「鵜のとんじょ」遊びは、素朴で、自然児らしい活き活きした子供らの様子が、眼に見えるようです。
こんな遊びができる自然がなくなりました。
自然の中の遊びを知らない(興味がない?)、この頃の子供が可哀そうです。
若い頃、何回か川原に行ったことがありますが、黒石の美しい浜と神秘的な池が印象的でした。
近くに、小池があったとは知りませんでした。

爺様は、還暦で歳を数えるのですね。
どうりで、いつまでも若々しいはずです。
そうだ、私もまだ小学生です。
そこで一句
歳とれば、子供に還り 悪戯して (さぶ)
危ない、危ない。
仮分数
2008年05月26日 21:02
快 団 爺 の 戯 言は知識ブログです
孫が浦安から今年の夏休みに来ます。
海水浴はどこが良いのか? 悩み見ました。
爺様のページが何時も参考になります
三原も良い 野母崎も 伊王島も良い
先日は 大村藩家紋の問題で参考になりました。
大村藩の菩提寺 本経寺の家紋です
爺様が詳しく 分かりやすく のべておられます
水戸黄門と同じです。
仮分数
2008年05月28日 17:37
興奮」して 前に 川原を三原と書いてしまいました。あわてんぼうは良くなりませんね。
しかし 爺様は写真のプロです。
海も山も神社も緑も愛情があります。
嬉しいです。

この記事へのトラックバック

  • 【28】 「 少年野生の森 」 

    Excerpt: 最近、子供達は、ゲームなどをして家の中で独りで過ごすことが多い。 人と遊ぶ時は、ほとんど同学年同士だ。 異なった年齢の子が集団で過ごすのは、サッカー、野球、剣道、柔道、空手など大人が指導す.. Weblog:  快 団 爺 の 戯 言 racked: 2008-05-26 13:25
  • 【26】 トンビの巣を襲え! 

    Excerpt: 「 おおい! 下は見るなよぉ!」 「 もうすぐ来るぞ! しっかり掴まっとけよぉ!」  Weblog:  快 団 爺 の 戯 言 racked: 2008-05-26 13:33
  • 【27】 野生の遊び

    Excerpt: 教員をしていた父が田舎廻りだったので、私は、赴任先の片田舎で生まれ、身近な自然の中で育ち、四季折々多彩で野生的な遊びを経験した。 春は、原野で隊列を組んでウサギを追ったり、海に突き出た断崖絶.. Weblog:  快 団 爺 の 戯 言 racked: 2008-05-26 13:36
  • 【50】 メジロ を 捕った!

    Excerpt: 「 ん・・・? メジロ?」 朝、窓のカーテンを開けたら、剪定した梅の木に止まっていた小鳥がパッと逃げた。 一瞬でよく分からなかったが、メジロのようだった。 彼岸の中日になっても ヒヨ (.. Weblog:  快 団 爺 の 戯 言 racked: 2008-05-26 13:38
  • 【66】 「唐茄子、カボチャ の アンポンタン!」

    Excerpt: 「 唐茄子、カボチャ の アンポンタン!」 「 お前の母ちゃん、出べそ!」 今も言っているかどうか知らないが、むかし、相手をからかう時に使っていた囃し言葉である。 今の 「苛め」 ほど深.. Weblog:  快 団 爺 の 戯 言 racked: 2008-05-26 13:41
  • 【37】 「 熊ん蜂 」 に 刺された!

    Excerpt: 「 おおい!あったぞ、あったっ!」 「 ほんとだ!」 「 わあ、大きか!お前の頭ぐらいはあるぞ。」 「 綺麗かねえ。」 「 近寄るなっ。危なかぞ。」 『 本郷の梨の段々畑のすぐ上に .. Weblog:  快 団 爺 の 戯 言 racked: 2008-05-26 14:10
  • 【102】 自転車「三角乗り」で、崖下へ転落!

    Excerpt: あっと言う間もなかった。 「 うわー!」 悲鳴を上げながら、自転車もろとも いや自転車より先に、真っ逆さまに、崖下に転落し、上半身を強かに打ちつけた。 「 ぐうっ !」 目の前が ボー.. Weblog:  快 団 爺 の 戯 言 racked: 2008-07-04 21:46
  • 【95】 野母半島

    Excerpt:         [ 写真は、岳路より 伊王島を望む ]  平成の大合併までは、野母半島(長崎半島)は西彼杵郡であり、昭和28年から始まった昭和の大合併前は、深堀、蚊焼、高浜、野母、脇岬、樺島、.. Weblog:       快 団 爺 の 戯 言 racked: 2010-10-31 11:15