【82】 雀の夫婦 と メジロの夫婦


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早春の柔らかい日差しを浴びて、まだ蕾の梅の木で 10数羽の雀が騒いでいたが、奥の日陰の枝で、静かに 思索的な ひと時を過ごしているのが 2,3羽 いた。
「 ただ、眠っているだけでしょう 」
カミさんは現実派だから、一蹴されてしまった。
「 日陰だから眠ってはいないと思うけど…。如何にも 思索中 という様子なんだ。 『 ああ、人生(雀生?)とは何ぞや。不可解なり 』 なんて…。 鵲声庵には思索に耽る雀もいる と思えば 楽しいじゃないか 」
「 あほらし 」

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さて、わらわらと やって来る雀の集団の中に、時々、仲の良い夫婦雀を見かける。
そのラブラブの仕草は、なんとも 微笑ましい。
頬摺りや ネッキング、時には キスをするのもいる。
仲間の雀や私が近くで見ているのに、お構いなしで おおっぴらなのは、 近頃 日本でも 電車で見かける若いカップルのようである。

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こんな雀を見たら、乾ききった仲の熟年夫婦でも あの甘く楽しかった新婚時代を ある種の感慨をもって思い出すだろう。
いや、乾ききっておれば、そんなことすら 思わないのではないか。
いやいや、別居している夫婦でも 縒りが戻ったりするかもしれない。
そんなことを 連想するのも また楽しい。

「 兄弟雀が じゃれているんじゃないの?」
現実派の カミ さんに、またしても 夢は破られた。

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一方、メジロは、ペア でやって来ることが多い。
ところが、一羽が ミカンを啄んでいる時は、他にミカンがあっても、連れ合いは、どういう訳か、少し離れたところで 丸くなって じっと待っていることが多いのだ。
外敵を見張っているようでもない。
この連れ合いとは別のメジロがやって来ると、ミカンを啄んでいる方が 追い払い、連れ合いは 横を向いたままなのだ。
しばらくして 連れ合いは、やおら他のミカンに取りつくが、同じミカンを並んで食べるなんてことはしない。
雀とは、随分ようすが違うようだ。
人間社会でも、明治以前の時代では、夫婦が外出する時、連れ合いは 一歩下がって付いていくのが作法であった。

「 熟年夫婦円満の秘訣は、一日一回 ” 愛しているよ” と奥さんに囁くことです 」
或るテレビ番組で、あまり男性に縁のなさそうな中年女性評論家が話していた。
「 こっぱずかしくて、今更 ”愛しているよ” なんて言えるかぁ 」
今でも、古希を過ぎた年代には、”愛してるよ”なんてセリフを口に出すのは 至難の業なのだ。

 そこで六句
  孫来れば パタっと休戦 夫婦仲  (快団爺)
  愛してる と 言えない世代 少数派 (快団爺)
  愛してる 言ってる奴ほど 早く冷め (快団爺)
  共白髪 誓った口から さようなら (快団爺)
  年金が 出るのを待って さようなら (快団爺)
  共白髪 誓った連れ合い 薄くなり (快団爺)
   
 過去の一句
  初孫に 見せた笑顔を つい嬶に (快団爺)

「 結婚式のとき、敢えて 『 共に白髪の生えるまで 』 と誓うのは、解除条件付の結婚契約ともいえるし、また、停止条件付の離婚契約ともいえるのではないか 」
なんて、大学法科出身の友人と話したことがあるが、何か変で 味気ない法律論ではある。

 そこで蛇足で一句
  もう既に 共白髪だよ 別れましょ (快団爺) 

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この記事へのコメント

仮分数
2008年02月23日 17:32
人間的で 心籠った優しい 爺様に
感動と威厳を感じます
未熟である私は 感動します
有難うございました。
ますます文章も冴えておられます。
青春を感じます
仮分数  追伸
2008年02月25日 09:56
カミさんとの会話
愛するご夫婦の姿が覗けます
嬉しいです
全国短歌大会入選の95歳の男性の作品
福祉は必要な政策ですね
 特老へあすは入所の妻の手を
    目覚めぬ様にそっと握りぬ
無伴奏ソナタ
2008年02月25日 23:03
雀はありふれた鳥だけれど、ほおの黒ボツといい、柔らかな茶色の体色といい、なかなかに可愛いいですね。
解除条件付、停止条件付契約談義は、私もゼミでやったような・・・。

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