【78】 P L 法


画像

「 ん? 」
鏡開きに、パソコンの前に飾っていた市販のミニチュア鏡餅を下して、食べてみようと 徐に底蓋を開けようとしたら、何かいっぱい書いてあった。
「ご注意」 というのを見たら、先ず
 ・ 脱酸素剤は、食べられません。
 ・ 脱酸素剤は、電子レンジには入れないでください。
 ・ 橙はプラスチック製で食べられません。
とある。

画像

幼児は字が読めないし、電子レンジも使えないから、この相手ではない。
「脱酸素剤」は、お土産物のお菓子と一緒に 袋に入っている定番のもので、脱酸素剤と書いてあり、「橙」 は、直径 3センチ程の ひと目でプラスチック製と分かる代物である。
きっと、「脱酸素剤」 と 「橙」 が読めて 意味が分かる人の中に、これを食べる人がいるに違いない。

続けて
 ・ お餅は必ず加熱してお召し上がりください。
 ・ お召し上がりの際には、ヤケドにご注意ください。
 ・ のどにつまらないように、飲みこめる大きさでお召し上がりください。
 ・ ……
硬い餅をそのまま食べて歯こぼれしたり、腹をこわしたり、焼いた餅や雑煮の餅で舌をヤケドしたりする人がいるから、メーカーが しっかり心配 してくれているのだ。
昔から、搗きたての餅を、喉に詰めて窒息するお年寄りや幼児の事故が時々あった。
焼いた餅を食べるときの大きさまで親切に教えてくれているのだから、全く、有難い世の中になったものである。

訴訟天国と言われるアメリカで、肺がんになった愛煙家が 「 喫煙は有害だと、タバコの箱に適切に表示していなかった 」 からだと、訴訟を起こし勝訴した例がある。
タバコに限らないが、これらの動きなどもあったからだろうか、或いはそれ以前なのか、まず アメリカ合衆国で 「PL法」ができたという。

現在、わが国でも、製造物の欠陥 によって被害を受けた消費者を保護する法律 所謂 PL法 (製造物責任法) ができている。
ここでいう「欠陥」とは、その製造品が通常有すべき安全性を欠いていたかどうかということだが、あわせて、事故などの危険について警告表示や取扱説明書に適切に示されていたかどうかも問われるものである。

本来、製造品の使い方が、通常 危険が当然予見される範囲内のものであれば、説明書に書かなくても製造者に責任はないだろうし、消費者の非常識な行為まで製造者の責任を問うのは酷であろう。
焼きたての餅を、いきなり口に入れればヤケドする ことは、当然予見される範囲内の行動であるし、うっかり放り込んでヤケドしても、それは食べた者の責任だと思っていたが、今の世の常識では違うのだろうか。

常識で判断しても おかしいなと思うようなことが書かれている例が多くなったのは、メーカーの過剰反応だという人がいる。
考えられる様々なケースを、ともかく取扱説明書に書いておき、非常識な消費者が PL法を盾に いろいろ苦情を言って来られないようにしている事前策なのだという人も多い。
なるほど…、メーカーの親切心からだけではなかったのか。
だから、「橙」 が読めても 読めなくても、「そんなのカンケーねー」 のだろう。

しかし、本来必要のない過剰な注意説明が氾濫すれば、本当に重要な注意事項が見逃されかねない。
また、消費者が日常生活の様々な場面で、自ら判断することを放棄してしまい、その能力も低下してきているのではと危惧するのである。
先般 「賞味期限」問題で、未だ食べられる 「消費期限」内なのに、どんな食品でも 「賞味期限」で簡単に捨ててしまう消費者が多くなったと、既にその傾向が表れていることを指摘していた人もいた。

今の世の中、 「常識 」 が変わってきているのだろうか。

 そこで一句
  PL法 適用できぬか 内の嬶 (快団爺)







この記事へのコメント

仮分数
2008年01月27日 12:02
プラスチックの橙 とても美しいです
現代を表しています。
私は 身内を亡くしていますので お墓詣りに行きます
お寺には 位牌堂があります。
最近はどちらも 造花で埋まってます。
年中 薔薇の花があり、百合の花があるので 異常ではないのですが、ただただ 寂しい感じします。
侘しい感じします。
表面的な カッコよさを希求する 政治家 経済人のような気もします
人は笑うけれど 純粋を守りたい
無伴奏ソナタ
2008年01月30日 21:33
アメリカでは、かつて濡れた猫を乾かすために電子レンジで「チン」して、死なせたケースについて、「メーカーに責任あり」として巨額の賠償責任を負わせたケースがありました。
日本ではさすがにそういった裁判例は耳にしませんが、日本人の「考え方」自体が、「アメリカの猫裁判」に近いものになっているようで・・・何ともはや。

この記事へのトラックバック

  • たばこのみ

    Excerpt: おそらく、女性のうち90%は「煙草臭いキス」が嫌いだろう。 100%ではないところが、僕にとっては救いだ。 ---------- Weblog: ★Peaky Speaky★,焼いた餅でヤケドする racked: 2008-01-25 20:32