【72】 五郎島金時


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今年も師走になって、金沢の友人から加賀伝統野菜 「 五郎島金時 」 を送って頂いた。
数年前、最初に送っていただいた時は、段ボール箱に 「 たべまっし 五郎島金時 」 と書いてあり、何だろうと思いながら開けてみた。
「 おっ、こりゃ薩摩芋だ。 それにしても 加賀の薩摩とは珍しい 」
「へぇ、こりゃぁまた、大事にしてあるな。大仰なもんだ 」
二度驚いた。
ひとつ一つの芋に、メロンのように シール が貼ってあったのだ。
「 芋にシールか・・・」
半ば苦笑しながら、早速、アルミホイル に包みストーブに乗せて焼いた。
いやいや、どうしてどうして…、ひとつ一つに シールが貼ってあるだけのことはあった。

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金沢では 「 コッボ コボ 」 と言うらしいが、確かに ホコ ホコ して 甘く、美味い。
しかも、ただ単に甘いと言うのではなく、何となく品の良い甘さと風味があるのだ。
地元の方が、「 日本一の味 」 と誇るだけの事はある。

石川県の谷本知事は、加賀ならではの地域特産産地づくりと振興に力を入れているそうだが、五郎島金時 からも生産者の意気込みが伝わってくるようだ。
「 五郎島金時 」 は、とっくの昔に 名の通ったブランドとして確立していたらしいが、恥ずかしながら 私だけが知らなかったらしい。

薩摩芋は、戦後の苦しかった食糧難時代、私の成長期を支えてくれた貴重な食べもので、懐かしい。
しかし、大人になってからは、胸やけがするので普段あまり食べなかった。
この 五郎島金時は家族みんなの評判がすこぶる良く、「 幸せ!」 と言いながら喜んで食べているのをみて、私も食べてみた。
「うん、これはいける!」
これだけは、不思議と胸やけがしないので、今は 幸せを共感している。

最初 五郎島金時を食べた時、私はふと 以前食べた金沢の和菓子を思い浮かべた。
だからと言って、加賀伝統の和菓子と味が同じだなんて言っているのではなく、また、野菜と和菓子を同列に論じるつもりもない。
加賀和菓子の雅な風味と品が良い味は、京和菓子と一脈通じるものがあるが、加賀和菓子は、京和菓子とは違う独特な味と雰囲気を持っている。
これが加賀百万石の城下町、四百年余の伝統に培われた味なのだろう。
上手く言えないが、五郎島金時も 薩摩芋でありながら 「 加賀の伝統 」 を感じたのである。

さて、五郎島金時芋は、三百年ほど前の元禄時代に、金沢北部の日本海に面した五郎島村の太郎右衛門なる肝煎大百姓が、薩摩から種芋を持ち帰り、栽培を始めたのが最初らしい。
五郎島の土壌は、通気性、保水性に富む砂丘地で、程よい大きさの砂粒が、格別に美味い薩摩芋を育むのだと言う。

四国にも 金時芋があるそうだが、これも、四国三郎の異名を持つ吉野川流域の砂地栽培だというから、砂地は薩摩芋の栽培に最適なのだろう。
そう言えば、本場鹿児島の薩摩芋も 火山灰・軽石粒の白砂(しらす)台地だ。

それにしても、戦後ひと頃は 食糧事情は悪かったが、いろいろな種類の美味しい薩摩芋を食べていた。
かねて、「 あの頃の美味しい薩摩芋は、もう無くなったのだろうか・・・」 と思っていたら、加賀の伝統野菜として生きていたのだ。

戦後まもなく、澱粉製造ブームが続き、澱粉で財を成した人もいた。
農家では、だんだん食糧事情も良くなり、美味くないが澱粉効率の良い品種だけが増産されるようになって、食べて美味しい品種の薩摩芋は栽培されなくなった。
美味しい薩摩芋は農家自身が食べる分だけは作られていたのだが、それも無くなり、これらの品種の種芋も大半無くなってしまったらしい。

今では、辛うじて残った種芋を育てて、「 OO金時 」、「 紫いも 」、「 紅さつま 」 など地域特産として美味しいものを売り出している所もあるが、銘柄も少なく競争が激しいという。
スーパーで売っている薩摩芋は 、一 山数百円と高価な割には 幼い頃のような美味しいものではない。

一昨年は爆発的な芋焼酎ブームで、原料の薩摩芋が払底し、鹿児島などでは醸造元が必死で原料芋を買いあさったという。
今各地で、食べて美味しいと評判をとった薩摩芋のブランド名を冠した焼酎を造り、「 まぼろしの焼酎 」 などとして売り出しているのもあるようだ。
酒を飲むことがない私は、焼酎にして美味しい薩摩芋が 食べて美味しい薩摩芋を駆逐してしまわないかと心配している。

五郎島金時は、是非、次の世代にもこの美味しさを引き継いでもらうよう頑張ってほしいものだ。

 そこで二句
  五郎島 そっと取り寄せ 薩摩人 (快団爺)
  里帰り 行列のできる 五郎島 (快団爺) 
  金時芋 後の匂いも 品が良く (快団爺)





この記事へのコメント

仮分数
2007年12月16日 12:53
スーパーで七輪を買いました。金網も買いました。
焼き芋釜も買いました。カボスも植えました。
サンマを焼いて カボスを絞って食べる作戦。
焼き芋釜で 焼き芋を作る作戦。近くの公園から拾った 銀杏の実 椎のみも焼いて喰う作戦。
作戦は 実行するが、全てが外で行うので 美味しい匂いが あちこちに漂って 大変な盛況になる。
その中でも 焼き芋は非常に 匂いを発散する。
さぶ
2007年12月18日 12:26
焼き芋の屋台が廻って来たとき、「なぁんだ、焼き芋か…。」と言ったら、「なぁんだ、とはなんですか!芋を馬鹿にしないでよ。この季節、世の多くの女がどれだけ「幸せ」を噛みしめているか…。芋を馬鹿にするのは女を馬鹿にすることよ。」と宣わった。
ストレス解消のため、買って食べようと思った矢先、「なぁんだ…。」と出鼻をくじかれたので、ご機嫌を損ねたらしいのです。
五郎島金時のブログは女房に見られないようにします。「金沢に旅行してきます。」なんて言いかねませんから。
 無人島 ダイヤモンドより 金時芋(さぶ)
うけすけ
2007年12月20日 10:21
私も食べたことがあります。
たしかに、ホコホコして美味しかったです。
普通、焼き芋には塩をかけて食べるんですが、
そのままでも十分美味しい逸品でした。
よっ、日本一 !!
 
 金時芋 匂ひ一番 味一番 (うけすけ)
ユウエイ
2007年12月24日 18:26
快団爺さん、ユウエイです。ご無沙汰しております。ブログへのコメントありがとう御座います。
趣味でやっていた書と絵を合体して 文字で遊んでいたら絵になった。
そんな作品をブログに載せたら「癒される」とおだてられ シリーズ化しているというところです。
[五郎島金時]は金時と言うくらいですから さぞかし甘いのでしょう 一つ一つシールが張られている芋は初めて見ました。
味への自信の現れでしょうか

こんな世間知らずの私ですが、ブログにも書いてあるように いよいよ来年、出馬を決意しました。4月13日が投票日です。
また、ご指導いただける機会がありましたら よろしくお願い致します。

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